超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ぴーっ

 病室のベッドに、子どもの名前が書かれた四角い機械が置かれている。

 傍らには父親らしき男が座っている。

 父親らしき男はポケットから笛ラムネを二つ取り出し、一つは自分の口にくわえ、もう一つを機械のトレーの中に放り込む。

 父親らしき男が笛ラムネを吹くと、機械の中からも笛ラムネを吹く音が聞こえる。

 静かな病室が少し賑やかになって、父親らしき男も機械も、笑っているように見える。(実際には笑っていない。)