超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

水と空

 朝起きてトイレに行くと、便器の中に青空が広がっていた。

 寝起きの頭ではうまく状況が飲み込めそうになかったので、ひとまずいつも通りにおしっこをして水を流した。

 廊下に出ると階段の下が騒がしい。おじいちゃんが何かぎゃあぎゃあ言っているようだ。

 自分の部屋に戻ってベッドに潜り、ぼんやりと考えてみる。この時間おじいちゃんは、いつも庭に出てラジオ体操をしているのだ。朝の空を見上げながら。

 私の部屋のドアを誰かが叩いている。目覚ましが鳴っている。学校に行かなきゃいけないのに、カーテンが開けられない。