超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

生活

 太陽も、風も、雲も、雨も、父も、母も、祖父も、林の片隅に佇む墓に眠る祖母も、気のいい隣人も、嫌味な同僚も、無愛想なバスの運転手も、恋人も、彼女のよく動く舌も、そのふくよかな乳房も、それから今度生まれてくる子どもも、すべておもちゃなので、世界が満たされるたびに説明書と保証書が増えていくのがわずらわしい。