超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

照準と標的

 友人の結婚披露宴に出席した。

 ウェディングドレスを着た友人は本当に綺麗だった。しかしその表情は硬かった。

 新郎は背が高く、色白で、いかにもおとなしそうな人なのだが、今、その新郎側の席には、おっぱいに火器の搭載された女性型のロボットがたくさん座っている。

 以前友人に「彼氏って、何してる人なの?」と聞いたとき彼女は、「よく知らないけど、やさしい人だよ」と微笑んでいたのを思い出す。

 

 お色直しのために二人が退場した瞬間、一斉に照準を解除する音が聞こえた。