超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

箱とボーナス

 僕の恋人は、世界征服をたくらむ悪の組織に勤めている。

 ある日彼女の部屋に行くと、マジックで「仕送り」と書かれた段ボール箱があった。中には、正義のヒーローの首が六つ、入っていた。

 彼女に聞くと、組織に一つ首を献上するごとに、特別手当てが出るそうで、そのことを親に話したら、実家から送られてくるようになったという。

 その時の段ボール箱には、「警察官になりたい」と言っていた、僕の高校のクラスメートの首も入っていた。

 彼女は最近電子ピアノを買った。クラスメートのことは、彼女には内緒にしておくことにした。