狭い和室に箪笥が置かれていて、その抽斗を空き巣が漁っている。
一番下の抽斗を開けると、和紙に包まれた着物と、一本の男性器と、折りたたまれた女の脚が収められている。
その上の抽斗を開けると、防虫剤のにおいが鼻をつき、重ねられた冬服と、肉付きのよい女の腰が収められている。
さらに上の抽斗を開けると、裁縫道具や筆記用具やアルバムや病院で処方された薬を丁寧に分類した箱と、形のよい女の乳房が収められている。
最後に一番上の抽斗を開けると、美しい女の首が収められている。
女はぷっくりとした濡れた唇に、印鑑をくわえている。空き巣はニヤリと笑い、女の首を持ち上げる。血液がかすかに輪状の跡を作っているその真ん中に、銀行の通帳が置かれている。
空き巣は通帳と印鑑をポケットに突っ込み、女の首を元の場所に戻す。
そして上から順々に抽斗を閉めていくが、一番下の抽斗に男性器が納められていることに改めて気がつき、ちょっと首をかしげてから、そっと部屋を出ていく。