超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

めだま(ひとりとひとり)

 おなかにあるおおきなめだまが、なぜだかはらはらないていた。
 なだめてもしかっても、おおきなめだまは、なくのをやめなかった。おかげで、かったばかりのしゃつが、びしょびしょにぬれてしまった。
 わたしにはこういうことをそうだんできるともだちがいないから、しゃつをせんたくしているとき、わたしもおおきなめだまといっしょに、はらはらないた。
 けれど、せんたくがおわって、しゃつをほすためにそとにでると、そらはびっくりするくらいきれいで、それをみたらわたしもおおきなめだまも、ぴたりとなきやんでしまった。
 かぜがとおくからきてきもちいい。
 ないたらおなかがすいてきた。はらのむしがないた。おなかにあるおおきなめだまが、そのおとにおどろいてぱちくりした。おもしろかった。わらった。ひとりぼっちだった。