超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

心臓と石

 私の恋人の心臓は、恋人が死ぬと、質のいい石になるらしい。

 だから彼女が死んだあと、石になった心臓が取り出され、万年筆の軸に加工されることが決まっている。

 そろそろ彼女にプロポーズしたいが、驚かせて彼女の心臓が止まったりしたらと思うと、思わず言葉を飲み込んでしまう。

 

 彼女は最近、何だかよく笑う。

 そんな些細なことにも、ハラハラしている。