超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

耳と目

 「必ず回収しに来るから」と言い残し、宇宙飛行士たちはロケットで去っていく。

 小さな惑星に取り残されたロボットの耳が錆びていく。

 地球の音が聞こえなくなっていく。

 ロボットは地球の方角を見つめながら、ゆっくり朽ち果てていく。

 

 人工衛星のカメラがその様子を撮っていた。百二十分の映画になった。地球のコピーライターに仕事が与えられた。