超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

肉と翼

 図書館でいきものの図鑑を借りた。
 公園で弁当を食べながら眺めているうち、見開きいっぱいに鳥の骨格が描かれているページを開いたまま、ベンチで居眠りしてしまった。
 はっと目が覚めたときには、骨だけの鳥が図鑑から抜け出して、空の向こうへ飛んでいくところだった。
 膝の上の弁当箱からは、ミートボールが一つ消えていた。