超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

旅と足跡

 宇宙飛行士だった夫は、月に行ったとき、地球に向かって真っ直ぐ続く小さな足跡と、その横にそっと置かれた、見たこともない文字が綴られた一枚の便箋を見つけたそうだ。
 夫は今でもその便箋を誰かの遺書だと考えているが、私はラブレターだったんじゃないかと、にらんでいる。