超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

花と影

 誕生日だったので、私は私にたくさんの花を贈った。私は私に贈られたたくさんの花を、空気を抜いたダッチワイフに詰めた。抱きしめるといつもより重く、いい香りがした。空気だけだったときはぼんやりと曖昧だった影も、花のお陰で濃くなって、触るとひんやり冷たかった。嬉しくなって、私は私にキスをして、ダッチワイフは笑ってそれを見ていた。