超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

針と口笛

 夏の夕方、人のいなくなった公園で、同級生の首を絞めた。人がいても絞めた。同級生は動かなくなった。もっと的確な言い回しがあるはずだけど、とりあえず同級生は動かなくなった。
 息を整えて、帰ろうとすると、爪の間に口笛がたまっているのに気がついた。同級生の口笛だ。学校の名札を留めている安全ピンを外し、針の先で爪から口笛をほじくり出した。それからぶらんこの支柱になすりつけて、帰ることにした。
 公園を出るとき、ちょっと立ち止まって耳を澄ますと、ひゅーひゅーと微かな音が聞こえた。しかしそれがぶらんこの支柱で鳴っているものなのかはわからなかった。