超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

夏の日とバナナ

 開業したばかりの果物屋に、小綺麗な母子がやってきた。
「すみません」
「何でしょう」
「息子のおちんちんを切り落としてしまったので」
「ええ」
「代わりに何か、いい物ないかしら」
「はぁ」
 少し考えてからバナナを差し出すと、母親に
「あなたふざけてるの?」
 と怒られた。
 息子はずっと雲を見ていた。
 林檎に蝿がたかっていた。