元の私に着替えてくるから、そこで待ってて、すぐに済むから。
いつものようにそう言って彼女は窓枠に腰かけ、カーテンをさっと引いた。
*
ベッドに身を沈めラッコみたいな格好で天井を眺める。
カーテンが目の端で揺れるたびに、紙切れみたいな光の欠片がちらちらと動いた。
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深く息を吐き、
目を閉じて、さっきまでのことを思い出そうとしたが、うまくいかなかった。
いつもそうだ。
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寝返りを打ちベッドの脚を撫でてみる。
ささくれていて、冷たくてザラザラしている。
ふいに涼しい風が背中を通り過ぎる。
昼間の雨が夕方頃にやみ、お陰で今夜はだいぶ涼しかった。
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じゃあ帰るね。
彼女の声が聞こえた。
再び寝返りを打ち、窓に目をやる。
いつの間にかカーテンは開いていて、彼女の姿はなかった。
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窓の外で、月が音もなく夜空を照らしている。
たくさんの星がぼんやりと浮かんでいる。
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いつものように目をこらし、そのたくさんの星の中から、元の姿に着替えた彼女を探してみたが、うまくいかなかった。
いつもそうだ。