超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2018-08-15から1日間の記事一覧

色のない雨

カーテンを開けると雨が降っていた。 久しぶりに色のない雨だった。 水のにおいの雨だった。 誰も泣かない雨だった。 今日はお気に入りの靴を履き、うつむかずに外を歩くことができる。 空を覆い隠す分厚い黒雲が、とても頼もしく見えた。