超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2017-11-01から1日間の記事一覧

霧の国

玄関のドアを開けると、ちょうどトイレのドアが開いて、合い鍵を渡しているウェイトレスが出てくるところだった。 気まずい沈黙が数秒続いた後、ウェイトレスは何も言わずに手を洗い、そして私を急かすように、銀のお盆を指先でトントンと叩いた。 私はもう…