超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2014-02-28から1日間の記事一覧

鉄とこゆび

空にちいさな縫い目があって、ほどいてみたら、ちいさな爆弾が落ちてきた。 少しおさかなに似たその爆弾は、私の足のこゆびにぶつかって、丘を転がり海へ向かった。 足のこゆびは、ぷっくり腫れた。

種と献身

(よく整えられた美しい病室のベッドで、目覚めない僕が眠っている。) (傍らには彼女がいて、目覚めない僕の髪を撫でながら、目覚めない僕の顔を覗き込んでいる。) (やがて彼女は堪えきれなくなった様子で、はらはらと涙を流しはじめる。目覚めない僕の…