超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2014-02-12から1日間の記事一覧

灰とつま先

今朝、満員電車の床に、線香が一本立っているのを見た。サラリーマンやOLや学生や、詩人みたいなのや漫才師みたいなのの林立する脚の間に、線香が一本、凛々しい女のように、背筋を伸ばして立っていた。人々のため息や朝の囁きが、たちのぼる煙を時折かすか…