超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2014-02-01から1日間の記事一覧

距離と梯子

ある晩、おじいさんになったT君がやってきて、梯子を貸してくれと頼まれた。お安い御用だと、彼の家まで梯子を運ぶと、T君は梯子に昇り、夜空に浮かぶ真ん丸の月に、若くして死んだ彼の奥さんの帽子をかぶせた。 梯子を降りたT君は、「俺が持ってても仕方な…