超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2013-03-17から1日間の記事一覧

卵と切り取り線

妻が産んだ卵にはあらかじめ切り取り線が入っていた。 取り上げた医者は唇をしきりに舐めていた。看護婦は目の端をぴくぴくさせていた。 私と妻はずっと黙っていた。退院の日まで、ずっと黙っていた。 退院の日は快晴だった。他のうちの卵が次々とふ化してい…