超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

おしゃれ泥棒

 夜空を見ていたら、突然巨大な耳たぶが現れ、三日月をぶら下げて消えてしまった。
 テレビを点けると、地球の裏側では、やはり巨大な耳たぶとともに、太陽が消えてしまったらしい。
 地球中に漂うきつい香水の匂いを嗅ぎながら、今日も私たちは空っぽの空を見つめ、誰かのデートが終わるのを待っている。

僕の先生は

 「弟が欲しい」と先生に相談すると、次の日、先生は新しいお父さんとお母さんを買ってきてくれて、組み立てまで手伝ってくれることになった。
 しかし、お母さんを組み立てた後、先生は「一人で進めていてくれるかな」と言い残し、組み立てたばかりのお母さんと一緒にどこかに出かけてしまった。
 結局、僕の弟になるはずだった赤ん坊は先生の次男になり、作りかけのお父さんは、僕にご飯を作ってくれようとしているのか、あの日からずっと台所の隅で、塩の小瓶を虚空に向かって振り続けている。