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トモコとマリコ

超短編を中心とした短い読み物を発表しています。隔週土曜日更新。

ニューヨークニューヨーク

真昼間の波止場で、
腹から血を流して倒れている男

目をいっぱいに見開いて、
天高く輝くアレが、
おっぱいなのか太陽なのか
確かめようとしている。

さようなら。

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めまい

 自転車のかごに神様の首を入れて、少年が山道を駆け下りていく。
 少年の火照った胸にまとわりつく汗を、夏の風が心地よく舐めていく。

 上級生たちの驚く顔を想像して、少年は上機嫌だ。
 少年の家では、まだ幼い彼の妹のおっぱいが、突然かたく張り出していた。

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鈴と金魚

 誰かが池に落とした鈴を飲み込んだ金魚が、縁日の屋台の桶の中をりんりんと泳ぎ回っている。
 鈴の分だけ体が重いから、誰にもこの金魚をすくうことはできない。

 祭の灯が消え縁日から人が去る頃、ほとんど空っぽになった桶を片付け、「しかたねえなお前は」と愚痴りながら、今日も屋台の親爺は金魚とともに家に帰る。
 飯を食い風呂を浴び、鈴の音を聴きながら酒を呑むとき、こいつにそろそろ名前でも付けてやろうかと、親爺はぼんやりそんなことを考える。

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ファミリーサーカス

私がまだ幼かった頃
星を盗んで食べたことがあります

怒ったお月様に追いかけられて
よく噛みもせず慌てて飲み込んだもんだから
大人になった今でも
お腹の中で星は光ったままです

だから
今まで子どもは何人も出来たけど
皆「まぶしい」と言って
生まれる前に去ってしまいます

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ライクアヴァージン

わざとらしい笑い声が響く団地の片隅で
母親がテレビのボリュームを上げた

雲の上でパパが歯磨きしてる
という娘のつぶやきをかき消すように

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